宣伝・広告と言われるとテレビのCMや電車の中吊り広告、WEBサイトで出てくる広告などを思い浮かべるのではないでしょうか。
今回はそういった広告ではなく、社名や商品ブランドのロゴを印刷したノベルティやプレミアムグッズ、懸賞を用いた宣伝・広告についてお話していきます。
Index
ノベルティグッズとプレミアムグッズの違い
商品以外の品を配るという点で両者は共通していますが、ノベルティグッズとプレミアムグッズの違いをご存じでしょうか。
ノベルティグッズ | プレミアムグッズ | |
---|---|---|
違い | 企業の名称やロゴを入れて不特定多数に無料で配布する記念品 | 特典として購入者に追加で贈る記念品 |
具体例 | 企業の社名が入ったポケットティッシュ、ボールペンやカレンダーなどで不特定多数に配られるもの | プレミアムはファッション雑誌の付録や、CDについているポスターやサイン入りクリアファイルなど特典として購入者を対象に贈られるもの |
目的 | 企業のブランディングや認知度向上 | 商品の購買促進 |
つまり、商品の購入よりもまず企業やブランドを知ってもらいたい場合にはノベルティを使い、商品を購入してもらいたいものにはプレミアムを付けて購買を促進します。
購入者の中から抽選で○○名様に当たる!
さらにプレミアムの中には、商品の購入者が抽選に応募することで景品がもらえる「クローズド懸賞」というものがあります。
クローズド懸賞の中にも「一般懸賞」「共同懸賞」「総付懸賞」と3パターンありますが、今回は商品を購入した人を対象とした「一般懸賞」と「共同懸賞」に限ってお話します。
クローズド懸賞は抽選などを行わずにもらえるノベルティやプレミアムよりも、値段が高額に設定されることが多く、行う目的としては商品の購買促進です。
クローズド懸賞の景品は既存の商品などに社名やブランドのロゴを印刷、さらに本体色などを変更し、企業や商品と親和性のあるオリジナルのものに成型します。これを購入者の中から抽選で当たった人に贈るといった流れとなっています。
商品の購入者しか応募する権利がなく、数も限られている為、希少性が高いのが魅力です。また購入者を能動的に動かすといった点でももらった人にとって特別で価値のあるものになります。
さらにボールペンやメモ帳といったノベルティのようにすぐに消費されていくものではない為、長い間購入者の手元に残ります。懸賞で当たった景品を使うたびにそのブランドや企業を思い出してもらえる為、長期的なファンになってもらえる可能性も高くなります。
クローズド懸賞の景品例
実際にクローズド懸賞ではどんな景品を取り扱っているのでしょうか。
【事例1】 「伊右衛門 特茶」のクローズド懸賞
昨年、サントリー食品インターナショナルではブランドの「伊右衛門 特茶(特定保健用食品)」商品購入者を対象に「LINEで参加!動くを、楽しく!」キャンペーンを実施。
そこでは景品として“ランナーを進化させるスマートシューズ”が抽選で当たるというものでした。
これは専用シューズとセンサー、スマートフォンアプリだけでランニングフォームを分析し、パフォーマンスを向上するといったランナーの目標達成をサポートする為のシューズで、まさに特茶を購入するような健康志向を持った消費者の関心を惹く景品となっています。
【事例2】「爽健美茶」のクローズド懸賞
同年、飲料水メーカーのコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社では「爽健美茶」の購入者を対象に「ちょっといいグッズ当たる!」キャンペーンを実施。
飲んだ本数に応じて自転車やハンモック、ハンディファンなど“ちょっといいグッズ”にが当たるキャンペーンに応募できます。
爽健美茶をモチーフとしたオリジナリティのある景品であり、自分では買わないようなちょっといいものがもらえるといった点でも人々の「買って応募してみようかな」という気持ちを掻き立てることができます。
このように景品を使ったキャンペーンで購入者に自ら参加してもらうことで、さらに商品や企業に対して期待感や満足感を感じさせることができ、結果的にリピート率の向上や販売促進につながります。
クローズド懸賞を成功させるコツ
ではクローズド懸賞を成功させ、販売促進につなげるためには何を重視すればいいのでしょうか。成功させるために重視すべきものは景品の内容だけではないのです。
まずクローズド懸賞の参加方法には種類が3つあります。
- 商品についているポイントを集めて応募するマイレージ型
- その場で当選がわかるインスタントウィン型
- はずれても敗者復活ができるダブルチャンス型
応募方法もハガキだけでなくラインやツイッターなどWEB上からなど様々です。
そのため、応募者を増やし売り上げを伸ばすためには景品の内容だけでなく購入者が応募しやすい条件や方法を選択することが大切です。さらにツイッターやインスタグラムなどのSNSを上手く活用してキャンペーンの告知を行い、話題性を持たせることで情報が拡散し、より多くの方の興味関心を惹くことができます。
つまり景品の内容の他にも、キャンペーンの拡散性と参加者の応募方法をしっかり考えて施策を行う必要があるのです。
クローズド懸賞の金額上限
ここでひとつ注意すべきなのがクローズド懸賞の景品には金額に上限があるということです。
上限が設けられている理由としては、懸賞の内容によって 商品・サービスの競争がきちんと行われなくなるのを防ぎ、消費者が景品に惑わされて不当に高額なものを買わされるという状況を防ぐ為です。
「景品表示法」という法律によって下記のように設定されています。
(1)一般懸賞
- 商品/サービスの価格が5000円未満は取引価格の20倍が懸賞の上限額
- 商品/サービスの価格が5000円 以上は10万円が懸賞の上限額
- 全懸賞の総額は、懸賞にかかる売上予定総額の3%が上限
(2)共同懸賞
- 商品/サービスの取引額にかかわらず30万円が懸賞の上限額
- 全懸賞の総額は、懸賞にかかる売上予定総額の3%が上限
(3)総付景品
- 商品/サービスの価格が1000円未満は取引価格の200円が懸賞の上限額
- 商品/サービスの価格が1000円以上は取引価格の1/5が 懸賞の上限額
- 総額については特に指定ナシ
クローズド懸賞を実施する際にはこれらの金額を超えないように設定することが重要です。
まとめ
景品もポイントやクーポンなどデジタル化していく傾向にありますが、
ノベルティグッズや懸賞の景品など形として残るものにはまた違った宣伝価値があるに違いありません。
訴えかけるだけの広告ではなく、消費者が消費を楽しめるような方法で企業や商品をアピールしていきたいですね。
〈参照〉
・サントリー食品インターナショナル株式会社 / 「LINEで参加!動くを、楽しく!」キャンペーン
・日本コカ・コーラ株式会社 / 爽健美茶 ちょっといいグッズ当たる!キャンペーン
・消費者庁 / 景品表示法(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/)