WEB動画広告ではアップロードされるタイミングで適切な規格に変換されることが多いため、多少入稿内容が違っていても許容されることがあります。

ただ、テレビCMではそういうわけにはいきません。テレビCMの動画はWEB動画に比べてレギュレーションがガチガチに決まっています。WEB動画のみしか製作したことのない会社にとってはかなり難しいと思われます。

テレビCMの動画サイズについて

テレビCMの基本サイズは?

標準アスペクト比は16:9で解像度は1080iになります。
アスペクト比は縦横の比率になります。では、1080iとなんでしょうか?

1080iの「i」とはインターフェイス走査の頭文字になります。

映像情報を表示させるときは水平方向の帯画像を順次送りつつ、表示させています。その表示させる際にデータを送る方法で1080iや1080pという形式があります。

1080iとは、デジタルテレビの映像規格のうち、有効走査線数(水平方向の帯)が1080本で、走査方式としてインターフェイス走査 (飛び越し走査)が採用された映像規格のことです。

具体的には上記のように1枚の画像を1/60秒ごとに奇数列と偶数列をわけ、交互に描画することで、結果的に1/30秒で1コマの映像を表現する方式です。

一方、1080pの「p」はプログレッシブ走査(順次走査)と呼ばれます。インターフェイス走査と違い、1回の走査で画面上のすべての走査線を描画する方式となります。主に液晶モニターなどで利用されている形式です。

テレビはもともとブラウン菅テレビと電波での配信を想定していたこともあり、極力データ量を抑えながら、描画回数を増やすことで、電波が途切れたり歪んだりしても違和感のない配信をするために作り出した技術です。
ただ、ブラン管テレビがなくなり、デジタル化した中で、番組はインターフェイス走査ではなく、プログレッシブ走査も利用されています。 現在のBSデジタル放送やCSデジタル放送、4K放送ではプログレッシブ方式も採用されているようです。ただ、現在でも広告は基本的には4Kでの映像は利用しないことが多いため、インターフェイス走査が基準となっています。

テレビCMの動画のセーフティゾーン

編集の際に気をつけなくてはならないセーフティゾーンについてです。一般的にテレビでは映像が画面目一杯に表示されるため、右上や左下にあるテロップが切れている番組がみうけられます。これはテレビメーカーの違いやテレビ自体の表示設定(映画モードやフル表示)など、ハード側の問題もあります。

広告では特にテロップが切れているなどの違和感や情報欠如があると問題になる場合があります。このようなことをなくすために「テレビではメーカーによって映像の端が切れてしまうので、少し余白をとりましょう。」というものです。

具体的に言うと水平方向と垂直方向でアクションセーフマージンは97.5%以内、タイトルセーフマージン(重要事項の場合)は95%以内に情報を収めると良いとされております。

以前はアクションセーフマージンが90%、タイトルセーフマージンが80%だったことを考えるとかなり小さくなっています。

映像だけでなく、音声も注意が必要

音声記録方式としては、「ステレオ」「モノラル」「5.1ch」の3種類となっています。こちらの設定は一般的ですが、テレビの設定はこれだけなく、平均ラウドネス設定を行わないといけません。

平均ラウドネスとは

2012年10月1日(月)以降に選定された基準で-24.0LKFS(±1LKFS)になります。特記事項ない場合は-28LKFS~-23LKFSの間に収める必要があります。LUFSは、Loudness Unit Full Scaleの略で、音圧を測定するための単位です。デシベル等の音の単位は単純な音の強さを表す単位ですが、LUFSは人間の聴覚特性に合わせて作られた規格で、周波数帯域による実際の聴感の違い(低音ほど大きなエネルギーが必要であったり)ということに合わせて作られています。

詳しくはhttps://j-ba.or.jp/category/t032 を参照ください。

他にも注意しないといけない点は??

テレビCMの素材名の付け方

原則として「商品名」を初めに付した形で、CM素材の判別ができるようにすること(商品名の略称の使用が可能)

CM素材内のクレジットの任意記載事項に「商品名」はありますが、CM進行業務上ではこの「商品名」は利用されておりません。商品名を初めに付していないCM素材が搬入された際、素材識別に支障を来しております。

「CM素材名ネーミングガイドライン」改訂と 「CM素材名」のネーミングに関して

つまり、素材タイトル名だけでなく、商品名(会社のイメージアップ広告などは会社名)を掲載する必要があるとのことです。

10桁CMコード

放送される全てのCM素材には、10桁CMコードが必要です。1CM素材=1コードとなるユニークなもので、重複はないものとします。複数の広告会社から搬入される場合があっても、同一のCM素材には同一の10桁CMコードが付いているものとします。

10桁広告コードは広告事業者コードと素材コードをあわせて、10桁のコードを作成します。広告事業者コードは共通コード管理センターが発番するコードで、素材コードは広告主もしくは広告代理店が発番するものです。

※なお「I(アイ)」「O(オー)」 および「-(ハイフン)」「 (ブランク)」は使用できません。

納品方法

搬入方法はHDCAM、XDCAM、オンライン搬入の3つになります。

HDCAMはメーカーの保守サポートが2023年3月に終了することが決まっていたため、2021年3月末で搬入基準からの一部の例外を除き、除外されてます。

一部の例外は2021年3月以前までの製作素材に関してのみで特例となっております。2021年4月以降の素材は物理的に納品する場合はXDCAMでの納品が必須となっております。ただし、まだ2021年現段階でもXDCAM対応していない局もあり、尺によっても搬入素材を使い分けている局もあります。民放連の推奨基準はあり、それに準じている局が多いと思われますが、局によって設備体制等により様々な対応状況です。

最後の3つですが、テレビCMオンライン搬入についてです。テレビCM素材を専用サイトからアップロードすることで、全国の放送局にオンラインで同時に搬入できます。搬入ができる会社などが決まっていたりします。

実は少ないテレビCMができる代理店

テレビCMを放送局と直接取引(口座を持っている)できる代理店は意外と少ないです。もちろん、大手代理店を経由して出稿している場合もありますが、マージンを折半していない限り値段が上がることが多いです。また、値付けは基本どの代理店から交渉しても同じになりますが、直接取引できる代理店はサービス枠などを局との交渉をすることが多いです。

もちろん第一エージェンシーは全国各局とつながっており、出稿実績もございます。

まとめ

今回ご紹介したもの以外にも細かな規約や規定があります。製作会社でもテレビCMに慣れている会社の選定も必要です。第一エージェンシーでは30年以上のTVCM実績がございます。テレビCMを実施したい場合はぜひ一度ご相談ください。