最近、ブロックチェーン技術を使ったNFT(Non-Fungible Token:非代替トークン)への注目が急激に高まっています。非代替とは、何か別の物を代わりにすることができないという意味で、ブロックチェーンを活用しデジタルデータの唯一性を担保することができます。自由にコピーすることができるデジタルデータに、唯一の価値や所有の証明を与えることができます。デジタルアート作家のNFT作品が高額で落札されるなど、昨今大きな話題となっており、アートをはじめとして音楽・ゲーム・広告といった様々な分野での活用が期待されています。
例えば音楽データをNFT技術を使って簡単に複製されないようにしたり、転売などで二次流通した際に、原作者に手数料が入るように設定したりと、従来はできなかった取引を行うことができます。
NFTと仮想通貨の関係
NFTという言葉とビットコインをはじめとした仮想通貨という言葉を同時に聞くこと人も多いのではないでしょうか。というのも、コロナ禍で高騰し注目を集めた仮想通貨ですが、実はNFTの購入は基本的に仮想通貨を使って行うことが可能なので、仮想通貨の価値が上昇したタイミングでNFTの市場も活性化したというのも、最近NFTが注目されている理由の一つです。
NFTと広告業界の動き
NTTドコモと株式会社電通グループが共同出資する株式会社 LIVE BOARDと株式会社電通がブロックチェーン技術を活用して、屋外広告枠を販売する実証実験を実施することを発表するなど、広告業界でもNFTの活用の実証実験が始まっています。
他にも、広告代理店とメディアの間で取引されていた広告枠をNFT化して一般のユーザーまで販売できるようにすることで、PVやクリック率で評価される従来の広告とは違った、新しい価値感が生まれるかどうか期待されています。また、広告枠をNFTとして販売する場合、取引はブロックチェーンの上で行われることになり、取引のスピード上昇、透明度の上昇につながります。
また、これまで大きな企業した出稿することができなかった有名な場所に誰でも広告を出すチャンスが増え、広告を出すということが今までよりも身近な世界になるかもしれません。
NFTの課題
このように注目されているNFTですが、まだまだ新しいジャンルなので様々な課題があります。そのうちの一つですが、税制を含めて法規制が間に合っていないという問題があります。原作者が原本として持っているデジタルアートが何らかの理由で流出・ハッキングされ盗難にあった場合、オリジナルのNFTと別に全くデータとしては同じものが市場に流通することになってしまうので、コピー品の対策は必須です。また、一度NFTとして販売したものを、原作者が少しだけ変化を加えて再度NFTとして販売することも現状では可能で、それらを違うNFTとして判断するのかどうか、基準も明確になっていないという問題もあります。