今年も新商品が続々と発売されている健康食品。広告には「〇〇配合」「〇〇な時に!」な ど、様々な言葉が並んでいます。では、かぜ薬などの「医薬品」の広告と、何か違うのでしょうか? 薬か食品か、さらにどんな食品かによって掲載のルールは変わってきます。広告を制作する際には、ジャンルをしっかりと把握しておくことが大切です。今回はまず、全体の分類を見ていきましょう。

全体の分類は?
薬と食品はこのように分かれている。

医薬品

医薬品は、病気の診断・治療・予防を目的としています。
大きく3種類に分かれます。

  1. 医療用医薬品…購入に処方箋が必要です。一般的な広告には登場しません。
  2. 要指導医薬品…医療用から一般用に移行したばかりの薬です。薬局で薬剤師との対面販売で購入できます。
  3. 一般用医薬品…薬局やインターネットで購入できます。(一部は薬剤師の確認が必要)。
    リスクによって第1類、第2類、第3類に分かれています。
    [商品例]かぜ薬、胃腸薬など

指定医薬部外品

医薬品に比べ、人の体に対する作用が穏やかで、比較的安全性が高いと判断されたものです。効果・効能の認められた有効成分が含まれています。
[商品例]滋養強壮ドリンクなど

食品

医薬品と指定医薬部外品以外はすべて「食品」として括られます。大きく3種類に分かれます。

  1. 特別用途食品…特定の対象者(妊産婦、えん下困難者、病者など)のために用途を表示している食品です。
    [商品例]乳児用粉ミルクなど
  2. 保健機能食品…機能が表示できる食品です。「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の3種類があります。
    [商品例]トクホ飲料、ビタミンCカプセルなど。
  3. 一般食品…上記以外の食品です。「健康食品」「栄養補助食品」「サプリメント」などの名称を使う場合があります。これらについて、法律上の定義は特にありません。
    [商品例]コラーゲン入りゼリー、エナジードリンクなど

分類による「健康食品」の定義はない!?

意外にも「健康食品」という言葉に定義づけはありません。ですが、本来はバランスの良い“食事”によって健康を維持することが理想なので、健康食品は生活習慣に気軽に取り入れやすい点がメリットとも言えます。

薬と食品では、表示できることが違います。

広告においては、これらの分類を把握しておくと訴求ポイントの整理がしやすくなります。ここから「効能・効果」や「機能」が表示できるもの・できないものを、訴求例とともにお届けします。

[医薬品]と[指定医薬部外品]の表示できること

[医薬品]と[指定医薬部外品]は、 「効能・効果」を表示することができます。たとえば、のどの痛みの緩和、腰痛の緩和、滋養強壮などです。

[特定保健用食品(トクホ)][栄養機能食品][機能性表示食品]の表示できること

[特定保健用食品(トクホ)][栄養機能食品][機能性表示食品]は、 「成分」と「機能」を表示することができます。たとえば、茶カテキン(成分)が脂肪の吸収を抑える(機能)、ビタミンB1(成分)が皮膚や粘膜の健康維持を助ける(機能)、グルコサミン塩酸塩(成分)がひざ関節の曲げ伸ばしをサポートする(機能)、などです。

その他の[健康食品]の表示できること

その他の[健康食品]は、「成分」の表示です。たとえば、乳酸菌入り、ポリフェノール配合、など。

医薬品と機能がある食品は“言える強み”を最大限に活用したい!

「○○に効く!」と言い切れるところがポイント

医薬品は治療が目的なので、「○○に効く!」と言い切れるところがポイントです。こんな痛みにこのように効く、とズバリ言って訴求しましょう。トクホや機能性表示食品などは、からだのどこがどうなるのか、「助ける」「役立つ」などでハッキリ打ち出しましょう。表示できる表現がちょっとわかりづらい場合は、日常のシーンを例に出すと伝わりやすくなります。

勝手に誇張しないよう注意!

効能・効果や機能を越える範囲をうたうのはNGです(薬機法や景表法に触れます)。

たとえば、ビタミンCの栄養機能食品なのに、「風邪にも効きます!」などと勝手に言ってはいけません。表現範囲には十分に注意してください。

健康食品を効果的に見せるコツ

表現を工夫が必要

こうして見るとやや劣勢に感じる(一般的な)健康食品ですが、表現に注意すれば、自由度が高いとも考えられます。つまり、「あれもこれも」「全体的に」という複数のメリットがある印象にしやすいのです。お悩みやなりたい将来像を絡めながら、擬音を使ったり、気持ちを形容したりして、表現を工夫していくことがポイントです。

体験談を載せる

さらに、健康食品の訴求でよく使われるのが体験談です。消費者の共感を得やすい“刺さる”コメントを出せると、商品の印象がぐっと上がります。ただし、ここも表現には注意してくださいね。

まとめ

  • 医薬品と医薬部外品以外は「食品」に分類される。
  • 「健康食品」は、法律上の定義づけはない。
  • 分類によって表示できることが違う!
  • そのことで表現する方法や手法が変わってくる。

いかがでしたか? 最近はコンビニでも健康食品のラインナップが広がり、世の中の健康意識の高まりを感じます。税率についても違い、医薬品等は10%(処方箋は別)、食品は8%と税率に差が出ますので、分類の認識も一層重要になります。

商品のジャンルをしっかり把握して、それぞれに効果的な訴求を追求していきましょう。