ここ数年、広報手段としてYouTubeに公式チャンネルを開設する企業が増えています。
この背景には、既存のオウンドメディアに対する考え方や役割が大きく変わってきている背景があるようです。

オウンドメディアの手法の現状

オウンドメディアとは、顧客や潜在顧客に対し、役に立つ情報を自社にて制作コントロールし発信できる自社で保有するメディア。

企業広報は、広告と違い出稿などによる瞬間的な刈り取り(成果)を目的とするものではなく、長期間かけ顧客や潜在顧客・未来顧客との関係性を構築し、根強いファンを獲得することで成果をあげていくわけですが、ここにきてその手法は変化を迎えているようです。

手法がテキストや画像→動画へ

オウンドメディアの手法は、ホームページやパンフレット・SNS等でのテキストと画像が主体でしたが、昨今では、動画オウンドメディアが増えてきています。

要因としましては・・・・

  • スマホの高性能化と回線の高速化によって、手軽に動画が視聴可能となった。
  • YouTube等、動画主体SNSが一般化してきた。
  • SNSの普及とともに、検索を行う場所が検索エンジンから各種SNSに分散した

それに伴い、市場も商品(サービス)の購入動機になるメディアとしてYoutubeの比率が高くなっていることもあり、企業の公式チャンネルの開設を加速させている要因になっているようです。

【参考:最も購入動機となるSNSは】

【参考:企業公式チャンネルの視聴回数】


2016年〜2020年にかけて企業チャンネルの視聴回数は右肩上がりになっており、2020年は前年比117%になっています。
ここ数年企業チャンネルの活用が進んでおり、2019年から大幅に増加していることはわかります。

年々企業チャンネルはユーザーに受け入れられており、YouTubeチャンネルの活用に積極的に行う企業も増えています。

Youtube公式チャンネルを開設するメリット

では具体的に、メリットはどんな点になるのでしょうか?

自社ブランドのコアなファンを獲得できる

YouTubeは前述した通り、非常に購買行動につながりやすい傾向があり、コメントやいいねなどユーザーとのコミュニケーションを行うことができます。
また、ユーザーファーストの企画動画をコンスタントに投稿し、ファンがつけばユーザーから好印象を持ってもらうことも可能です。

企業とユーザーの関係性を強くできるのもYouTubeの1つの特徴となります。

自社商品(サービス)の理解を深めることができる

動画は情報量を圧倒的に多く伝えることができ、自社商品(サービス)や社風など自社の理解を深めさせるのにかなり効果的です。

ただ、あまり自社商品(サービス)の営業感を出してしまうとユーザーから嫌われる傾向が強いので、営業コンテンツは極力避ける方が良いようです。

チャンネル登録者へのアプローチ

チャンネル登録してくれている方は、投稿している動画コンテンツに興味があるユーザーであると同時に、商品(サービス)、企業そのものに対してファンになっているユーザーも一定数含まれます。こうしたユーザーに対して、動画を投稿することでいつでもアプローチできるのは、企業がYouTubeチャンネルを開設する最大のメリットだといえます。

認知拡大ブランディング

直接的な購買訴求をせずとも、チャンネル登録者数を増やすことや、動画の視聴回数を伸ばすことで、自社ブランドを広く認知させることができます。

Youtube公式チャンネルを運用するためのデメリットと課題

メリットがわかっている一方で、公式チャンネルを運用するには様々な課題があるようです。

YouTube 専任の運用チームが整わない

企業アカウントを運用する場合、InstagramやTwitterに比べると運用の負荷が大きく、通常の業務と並行して片手間にはできません。
企画→動画撮影→動画編集やアップロード→視聴維持率の解析などYouTubeには多くの作業が伴います。
そのため、企業アカウントをしっかり運用するのであれば、専任チームの体制を整える必要があります。
体制を整えずに始めてしまうと、企業アカウントの運用に関わる業務が担当者の大きな負担にもなりやすく、結果が出る前に挫折する可能性も大きいです。

コンセプトの一貫性がない

コンセプトはチャンネルの土台となるとても重要なポイントです。

ユーザーを無視した企業の都合によるコンテンツ、特にPR動画やCM動画のアーカイブを置いただけのチャンネルはチャンネルとしてのコンセプトが見えず、結果として登録者数・再生回数が伸び悩み、YouTube施策のメリットを獲得できない。

動画企画(アイデア)の枯渇

YouTube専任の担当者がいない場合、アップ済みの動画解析や商品(サービス)についてユーザーが抱えている興味や課題を充分に把握することができず、いわゆるネタ(企画)の枯渇が発生し、定期的に更新することができなくなってしまう。

チャンネルを開設してから効果が出るまでに時間を要する

企業チャンネルの効果が出るには最短でも8~12ヶ月はかかり、途中でリタイアしてしまう企業が多いです。
公式チャンネル開設当初は、目標設定が難しいため効果を感じづらい施策ですが、長期的に見れば資産となっていくコンテンツになりますので継続していくことで最終的に大きな利益を手に入れる可能性があります。

まとめ

今やリビングのテレビでもYouTubeを普通に見ることができる時代。

動画を見れるデバイスの多様化と、なにより5Gのように通信の高速環境が進む中で、企業広報の動画手法はさらに進んで行く可能性があります。
ただし、前述した通り抱える問題をいかに内製負担なく、運用できるかが今後の大きな課題になってくるようです。