入社当初は営業として、クライアントと一対一で向き合う日々にやりがいを感じていました。転機が訪れたのは、自分が担当したCMが実際にテレビで流れ、街中でその話題を耳にした時です。「私が関わった仕事が、こんなにも多くの人に届いているんだ」という震えるような感動がありました。
もっと広く、この「届ける」という瞬間の責任を担いたい。そう強く思い、媒体部への異動を希望しました。
媒体部の仕事は、CMの放送枠や新聞の掲載枠を確保することです。一見事務的に思えるかもしれませんが、実はとてもクリエイティブ。どの番組の合間に流せばターゲットに響くか、どのタイミングで新聞広告を出せば世の中の話題になるか。営業時代の経験があるからこそ、「この商品を一番愛してもらえる場所」を直感的に選ぶことができるんです。
「調整」は、
妥協じゃない。
双方の想いを翻訳し、
最高の結果を創ること。
私たちの仕事は、クライアントからの「どうしてもこの時期に流したい」という要望と、テレビ局側の「枠が空いていない」という物理的な制約の間に立ちます。一見すると相反する状況ですが、私はこれを「調整のしどころ」だと捉えています。
そんな時、心がけているのは「正直な体温」を伝えることです。単に「無理です」と断るのではなく、クライアントの熱意をメディア側に丁寧に翻訳して伝える。「この企業は、こんな想いでこのCMを作ったんです。だからこそ、力を貸してほしい」。
そうやって本音で向き合うと、メディア側からも「だったら、この枠ならどう?」と新しい提案が生まれたりするんです。それぞれの事情を汲み取り、双方が納得できる「第三の案」を導き出す。そのプロセスこそが、私の仕事における「誠実さ」の実践だと思っています。
テレビや新聞は影響力が巨大な分、正確さが何より求められます。15秒のCM素材の搬入期限、考査の確認、放送確認書のチェック。私たちの日常は、丁寧な確認作業の連続です。
でも、その「当たり前」を守り抜くことこそが、クライアントのブランドを守ることに直結します。「神は細部に宿る」ではありませんが、私が最後の砦として目を光らせているからこそ、営業は安心して提案ができ、クリエイターはのびのびと制作ができる。
華やかな広告業界の裏側にある、この静かな責任感と信頼。それが、私がこの仕事を誇りに思う理由です。
私の趣味は、ひたすら街を歩く「アーバン・ウォーク」。
ただの散歩ではありません。変わりゆく天神の景色を眺めたり、新しいお店の看板デザインをチェックしたり。街全体の空気を肌で感じることで、デスクワークで凝り固まった頭がクリアになります。
「今、何が流行っているのか」を足で稼ぐことも、実は仕事のヒントになっています。