来年にはTOKYOオリンピックもあり、一層増え続けている訪日外国人観光客。
一時期の中国人爆買いブームより落ち着きを見せ、近年モノ消費からコト消費へ移行していると言われている訪日外国人インバウンド市場ですが、まだまだ購買額は大きな数字となっています。
市場の状況とマーケティング手法についてご説明させていただきます。
圧倒的な購買力を持つ中国人
爆買いブーム後のインバウンド市場で大きな売上の下支えとなっているのが、訪日外国人数の右肩上がりの増加で、2013年の年間1,000万人だったのに対し、2018年には年間3,100万人にまで増え、政府も目標を上方修正するほど順調に伸びています。
なかでも中国人が訪日外国人数でもトップの人数となっており、買い物代の消費額ではズバ抜けてトップとなっています。
2018年訪日外国人数(国別ランキング)
①中国858万人
②韓国753万人
③台湾475万人
④香港220万人
⑤タイ113万人
2018年訪日外国人買い物代消費金額(国別ランキング)
①中国8,110億円
②台湾2,115億円
③韓国1,626億円
④香港1,096億円
⑤タイ456億円
※出典:日本政府観光局(JNTO)
やはり、訪日外国人向けインバウンドマーケティングでは、アジアの中でも圧倒的な購買力を持つ中国(ついで台湾・香港)※をまずはおさえることが重要です。
※中国語と言っても、中国は簡体字、台湾・香港は繁体字などの違いがあります。
中国の人口は14億人で、2018年11月11日の「独身の日」ではアリババ※の売上が1日で3兆5110億円に上るほどの、巨大な市場を持った国です。
※アリババとは、中国最大のECサイトT-mallやタオバオ(CtoC)を運営する巨大企業。
旅行形態も変わってきており、2014~2015年の爆買いブームの頃はツアーバスに乗って免税店に乗り付ける団体旅行客が多かったですが、現在はビザの緩和等により個人旅行客(FIT)が大幅に増えており、自ら情報を集めて行動するため、行動範囲も広範囲となっております。
では、その中国に対してどのようなマーケティングを行えばよいのでしょうか?
プロモーションはフェーズごとに
観光客が来日して購入決定に至るプロモーションのフェーズとしては、旅マエ【検討期】と旅ナカ【滞在期】と2段階があります。
①旅マエ【検討期】
訪日前の旅マエでは旅行がまだ決まっていないが検討している、すでに訪日予定が決まっている等のターゲットに対してアプローチします。
観光客の7割が訪日前の旅マエに指名買いをする商品を決定しています。
つまり、旅マエに商品認知~検討機会を作り、購入候補の「お買い物リスト」に入れてもらうことを目標とした施策が重要となります。
旅マエの潜在的なユーザーに向けては、中国では口コミでのマーケティングが主流で、中国国内に影響力のあるKOL(Key Opinion Leader)による中国のSNS※を利用した口コミの拡散が一番定番なマーケティング施策です。
特にこのKOLを利用したリアルタイム動画配信が効果の高い訴求方法として注目されています。商品PRによる認知拡大やECサイトでの購入(ライブコマース)で抜群の効果を発揮します。
また、訪日が決定しているユーザー向けには、観光ビザ発行時に一緒に同送できるチラシ(クーポン入り)やWi-Fiレンタル時にチラシ同梱できる等のメディアが有効なプロモーションとなっており、効果が出ている企業はMR6.0※以上を叩き出しているものもあります。
その他には、中国国内にサイトが無く、検索エンジンに引っかからない商品に関しては、大手ポータルサイト・ニュースサイト等へのPR記事として掲載できるサービスがあり、商品名などのキーワード検索から信頼のあるサイトでの記事が表示されるというWEB対策手法です。
※中国のSNS事情
中国では「グレートファイヤーウォール(金盾)」というインターネット規制があるため、Facebook、Twitter、LINE、Instagram、YoutubeなどのSNSは使用できません。
中国独自のSNSである中国版LINE「WeChat(微信)」、中国版Twitter「Weibo(微博)」、中国版Youtube「优酷(Youku)」や「爱奇艺(iQiyi,アイチーイー)」が利用されています。
ちなみに、検索エンジンは中国版googleである「百度(バイドゥ)」です。
※MR(メディアレーション)とは、広告実施時した際に、どれだけ回収できたかの示す指標になります。売上÷媒体費=MR。
②旅ナカ【滞在期】
旅ナカでは実際に旅行中の訪日外国人をターゲットにアプローチします。 旅マエにある程度の買い物リストは作られておりますが、買い物を決めていない残りの3割に対して、現地で情報を収集して決める方や衝動買い、ついで買いを促進するために、その場で購入を決められる情報を伝えることで、より購入に結び付けることができます。
旅ナカのユーザーに対しては、旅ナカの導線でのコンタクトポイントが重要になります。
日本行の飛行機内のフリーペーパーや宿泊先ホテル・観光案内所等のフリーガイドブックやポケットマップメディアが、商品の認知拡大からクーポン訴求による購買促進にも有効な手段となります。
また、旅ナカのWEB施策としては日本国内での言語×エリア×デバイスというセグメントで広告配信可能なターゲティング広告も有効です。例えば、簡体字×銀座×スマホでセグメントした配信で、銀座にいる簡体字(中国人)を利用しているスマホユーザー(旅行者なのでPCを除く)に対してリーチできるので、滞在中のユーザーに対するエリアマーケティングが可能な手法です。
まとめ
- 購買力No1はやはり中国
- 旅マエ・旅ナカとフェーズごとにプロモーションを実施する
- フェーズごとに各種メディア(リアルとWEB)を活用
訪日外国人インバウンドマーケティングについて、是非お問い合わせください。
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