「お客様が何を考えているのかがわからない」や「施策がどうしても主観になってしまう」「結果として何が要因だったか、わからない」など調査は様々な場面で利用されます。他にもプロモーションを行う前後での調査や商品を開発するための調査。意識調査、店舗の状況を調査するミステリーショッパーなどがあります。昨今では調査自体を行うとともにプロモーションに使ってしまう手法なども出てきており、調査分野はまだまだ必要な分野です。

この記事では調査の基本についてまとめます。

調査の分類について

調査は大きく分けて目的や内容に応じて「定量調査」と「定性調査」の2種類です。

定量調査とは

セグメントをかけ、グルーピングした一定量のモニター(ユーザー)に同様の質問を投げかけ調査を行う手法になり、統計的に処理を行うことが多く全体像や一般論を調査する手法です。

<調査手法>

 
  • インターネット調査
  • 郵送調査
  • 街頭調査(施設での調査も含む)
  • 電話調査

コスト面から見るとインターネット調査が最もやりやすいものとなっています。ただ、気をつけるべき点として「インターネット利用ユーザー」というバイアスがかかっている点です。以前と比較するとインターネットの普及率は高くなっており、スマートフォンの台頭で高年齢でも一般的になってきているものの、インターネット調査などで登録しているユーザーで比較的ITリテラシーが高いユーザーになります。

定性調査とは

定性調査は、本音や自覚していない内容を聞く調査になります。
場所や人数などによって違いがあり、聞き手の力量などに左右されますが、詳細を調査したい場合に利用します。

<調査手法>

  • グループインタビュー
  • デプスインタビュー
  • 訪問観察調査
  • 行動観察調査
  • 会場調査

上記の中で、最も主流の方法はグループインタビューになります。グループインタビューでは性別や年齢などでグループ分けし、複数のユーザーから意見を聞くか形になります。ただし、声の大きいユーザーや集団心理などによってバイアス(意見の偏り)ができてしまうこともありますので、個人とのやり取りで行うデプスインタビューなどもコストはかかりますが有効になります。

実施する場合の考えるべきポイント

調査で考えるべきポイントは「5W3H」です。
「えっ5W1Hは聞いたことがあるけど3Hって何?」と思った方はいらっしゃると思いますが、5W1H(Why・What・Who・When・Where・How)にHow many・How muchを加えた8つになったものが「5W3H」になります。

1Whyなぜ調査を行うか?目的の明確化
2What何を明らかにしたいのか?実施内容の明確化
3
Whoどの人に対して実施するのか?ターゲット選定
4
Whenいつ、どのようなタイミングで?定期調査、単発調査
5Whereどこでやどんな環境で?インターネット、街頭
6Howどのような手法で実施するのか?定量調査、定性調査
7How manyどのくらいの量のサンプル数?400人? 10人?
8How muchいくらかかるのか?金額

調査の中では「How many」「How much」は重要です。サンプル数を多ければ多い方が精度が高くなっていきます。ただ、調査だけでは商品が売れることはないため、費用をかけすぎることはできず、バランスが必要になります。金額は行う調査によって内容が異なり、時期や規模によって見積もりとなります。

必要なサンプル数は? 400サンプル?

では、サンプル数は多ければ多い方が精度が高くなりますが、金額もバカになりません。サンプル数と金額とのバランスもあるため、信頼度がある調査を行うためのサンプル数を考えます。

一般的な調査は、『対象となる母集団から一部を抽出して調査を行う「サンプリング調査(標本調査)」と呼ばれる手法』で行われます。重要な数字は母集団です。 

結論からいうと調査したい対象の全体数が多く許容誤差は±5%程度、信頼レベルは95%とする場合は400サンプル以上あれば統計的には問題ないです。

以下細かい話になりますので、さらっと読み飛ばして頂いてもOKです。

母集団とは?

母集団とは調査対象となる集団全体のことです。
例えば、

<EX1>
「就業者の運動頻度は?」を調査する場合、母集団は「就業者数」で全国の数値を出す場合、母集団は平均6,664万人(統計局から参照)となります。
<EX2>
ある通販を利用している方の意見を調査したい場合の母集団は「ある通販が保有している全会員数」にあたります。

サンプリング調査を行う場合は「無作為に抽出した一部」の結果が、母集団を代表するような意見である必要があります。母集団の人数が多ければ多いほどサンプルの数は増えていきます。

母集団の全員に調査を行わない限り、アンケートで得られる結果には必ず誤差が生まれます。このような誤差の程度の指標として、「許容誤差」と「信頼レベル」があります。一般的な調査の場合許容誤差は±5%程度、信頼レベルは95%を目標に調査を行う場合が多いです。

許容誤差とは

アンケートで得られた結果が、全体からどの程度外れているかを確認する批評です。
例えば、アンケート結果で「そう思う」と答えた人が25%いる場合、許容誤差が±5%であるならば、20%~30%の人が全体の母集団ではいると統計的に処理していいといった形です。

通常であれば、許容誤差が±5%程度で考えます。

信頼レベルとは

信頼レベルとは抽出したサンプルが許容誤差の範囲内にいるかの確率を表す指標です。つまり、100%であれば、許容誤差の範囲内におり、80%であれば、5つに1つは許容外にいることになります。

通常であれば、信頼レベルは90%以上で考え、多くの場合は95%程度とすることが多いです。

サンプル数の出し方は?

統計学的に必要サンプルサイズは以下の計算式で算出する事ができます。

n:必要なサンプルサイズ (人)
N:母集団の規模 (人)
z:
信頼レベル <zスコア>
※zスコアは信頼レベルが90%:1.65、95%:1.96、99%:2.58
とする。詳しくは統計学の本をみてください。
p:回答比率 (%:小数点表記)
※AorBで選択する場合が確率が高いので、50%で考えると最大数がでる
e:許容誤差 (%:小数点表記)

となりますが、結果だけを表記すると下記のグラフになります。

例えば、母集団が1,000人いるの場合、許容誤差は5%程度、信頼レベルは95%とすると赤のグラフを見るので、278サンプルとなります。

母集団が大きい場合でも一つのセグメントで必要なサンプル数が400サンプルであれば、基本的には許容誤差は5%程度、信頼レベルは95%を満たすことがわかる。

調査の体系化

一回の調査で終わる企業いますが、複数回にわたって調査をすることによってより詳細な情報を収集することができます。
例えば、初回の調査で定量調査行い、その結果で浮き彫りになった内容を二回目の調査で人数を絞り定性調査を行うなどを実施している企業もいます。

順序を入れ替え、定性調査を行った上でそこで出てきたキーワードを定量調査にかけることもあります。

また、クリエイティブを調査にかけることも最近では多くなっており、客観的な指標とどこに興味を持ったかなど印象調査などを実施しております。クリエイティブの調査では企業の担当者評価と調査の評価が違い。担当者評価より調査の評価の方が実施した結果が近かった例もあります。

まとめ

  • 調査には定性調査と定量調査がある。
  • 母集団がわからずとりあえずで調査するときはサンプル数は400あれば問題ない。
  • 調査は一回で終わりでなく、精度をあげるために複数回実施することも検討。

調査自体で売上が上がるわけではないですが、客観的な指標作りとして、一度実施していくことをお勧めします。

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