「広告代理店」って聞いたことはあるけど、実際にどんな仕事をしているのか想像がつかない人は意外と多いのではないでしょうか? 多忙で華やかなイメージを持たれることの多い職業ですが、きめ細かな調整や幾度に渡る制作物の内容確認、広告結果の分析など、実は黙々と地道に向き合う仕事も多い職業です。

 今回は、そもそも広告代理店ってどんなことをしているのかという基本的な内容をご紹介します。これから、広告代理店への就職活動を控えている方や広告代理店に興味を持たれている方にはぜひ読んでいただきたい内容です。

広告代理店とは

まず、広告代理店の仕組みについてご紹介します。基本的に、上記の図の流れで動いています。

➀広告主への対応 広告内容について詳細のヒアリングを行う。プランニングし広告提案。
広告出稿後の結果分析・改善策の提示まで行う。
②制作会社への対応 広告のアイディアを考案し、制作。必要に応じて外部の制作会社に外注することもある。
③媒体への対応 最適なメディアの選定。受注後、メディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・WEB)の広告枠を代理購入。

広告代理店の仕事は、平たく言うとクライアント企業の広告活動を代理的に行うことです。クライアントが抱える課題をヒアリングし、課題解決のためのプロモーションを提案します。

仕事の大枠は先述の通りですが、広告代理店の役割は時代とともに変容してきています。以前は、テレビなどの広告枠を企業に売るのが主な仕事で、広告を出したい企業と広告媒体との仲介役を担っていました。しかし現在は、広告内容の企画・制作から広告代理店が行っています。単なる仲介役から課題解決のための施策を一から考え、広告出稿後も継続的にサポートするプランナーかつコンサルタント的な役割に変わってきているのです。

このように、どんな広告内容でどの媒体でPRすると効果的なのかといった戦略マーケティングからプロモーション、結果分析・改善まで一括して対応する代理店は増えています。

広告代理店の分類

広告代理店と一括りにいっても、扱う案件・媒体によって大きく以下3つに分けられます。

1.総合広告代理店

総合広告代理店の特徴は、あらゆる種類の広告枠を取り扱う代理店です。一つの媒体にしばられず、広告主の要望に応じて、あらゆる媒体・企画を提案します。媒体提案だけでなく、イベント企画やプロモーション施策など一括して取り組む、「何でも屋さん」といったイメージです。

2.専門広告代理店

1つの媒体に特化した広告代理店です。具体的には、WEB広告を専門に扱う広告代理店や新聞の広告枠を専門的に扱う広告代理店などがあります。
特に、昨今ではWEB広告が主流となってきており、広告代理店売上高ランキングベスト10にWEB専門の広告代理店が4社ランクインしています。(引用:《2020年5月最新版》広告代理店 売上高ランキング)

細かいターゲティング配信ができ、広告結果が明確に出るためPDCAが回しやすく、より費用対効果の高い媒体として需要が高まっていると考えられます。

3.ハウスエージェンシー

特定の企業専属の広告代理店のことです。大企業の広告宣伝部門が独立分社化しているケースが多く、基本的にはその企業の案件がメインになります。

具体的には、鉄道系やメーカー系の企業が多いです。中には、他社の案件も引き受け、総合代理店のような機能を持つ企業もあります。

広告代理店の職種

1.営業部門

案件を獲得し、クライアントとの窓口となる職種です。クライアントへのヒアリングや打合せ、スケジュール管理、全体の進行を行います。

2.クリエイティブ部門

実際に広告制作を行う部門。テレビCMや新聞、チラシ、ブランドブック、ポスターなどクライアントの要望に応じて制作します。具体的な職種としては、コピーライターやアートディレクター、デザイナー、CMプランナー、クリエイティブディレクターなどがあります。

3.メディア部門

テレビ局・ラジオ局・新聞社などの媒体担当者と広告枠や料金交渉、広告枠の発注、広告素材の搬入などを行います。

4.マーケティング部門

市場分析、リサーチを行い、クライアントの目標に達成するための広告手法や効率よく広告展開する方法など戦略を立てる部門。近年ではマーケティングの重要性が認知され始めており、業務内容が拡大していくことが考えられます。

大体の代理店がこの4部門で動いています。

案件ごとに、営業担当者を中心にクリエイティブ部門、マーケティング部門、メディア部門の担当者とそれぞれチームを作って進行していきます。

まとめ

広告代理店の仕事内容や仕組みについて基本的な情報をご紹介しました。代理店によって、細かい仕事の分類は異なる可能性があるので、詳しくは興味のある企業を調べてみてください。

広告業界は時代の流れに沿って大きく変わっていく業界です。今では、スマートフォンの普及により、WEB広告が主流となっています。少しずつマスメディアからデジタルへ、広告からマーケティングへシフトしています。より、必要な広告だけが配信されるようになり、私たち消費者にとっても便利な世の中になっていくかと思います。

また、今後5Gが普及すれば、YouTube広告などの動画広告がより活発化することも予測されています。広告代理店の仕事は、時代の流れに影響を受けやすい業界であり、逆に流行を生み出すことのできる仕事でもあります。この記事をきっかけにより広告代理店に興味を持ってもらえれば幸いです。