テレビCMの放送素材はこれまでHDCAM等のビデオテープが主流でした。
2017年10月よりテレビCM素材のテレビ局への搬入基準に、新たにオンラインでの搬入方法が追加され、これまでHDCAMやXDCAMといった物理メディアで複数のテレビ局へ搬入されていたCM素材を、パソコンでWEB上の管理画面を通してオンラインで搬入する枠組みができましたが2020年時点でその利用は4割程と推測されています。

HDCAM製造メーカーの保守サポートが2023年3月に終了することを受けて2021年の4月以降は局への素材搬入はHDCAM(ビデオテープ)からXDCAM(ファイルデータ)での搬入へ移行しています。

コロナ禍の下で「オンライン」が注目される中、今年の4月以降はメディアでの搬入はXDCAMとなりCM素材の原版もファイルデータで制作することが必須となり、同様にファイルデータでの送稿となるオンライン運用への移行も進むと考えられています。

 ※民放連の素材搬入基準では2022年3月までは暫定的にHDCAMでの受け入れ可能
 ※尺が5分以上の番組・テレショップ等は現在未対応。
 ※CS・ケーブルテレビ局は未対応。

テレビCM素材のオンライン運用(搬入)とは しくみ

これまでHDCAMやXDCAMといった物理メディアで複数のテレビ局へ搬入されていたCM素材を、インターネットに繋がっているPCがあれば、管理システムを通してオンラインで局へ素材搬入ができるものです。

【図1】

オンライン運用で実際に使用する「管理システム」は2つ。

1つが、TV局へ搬入用のCM素材データ(ファイルデータ)をサーバー(※図1の映像サーバー)にアップするための、素材搬入事業者が提供する映像サービスの管理システム。

素材搬入事業者は現在9社あり制作扱い広告会社(CM素材の制作を請け負う広告会社、制作会社・ホスプロ)にて事前に契約が必要になります。素材搬入事業者のサービス内容により費用は違いますが1素材毎(1つの10桁CMコード)にアップロードの費用が発生します。

2つ目が、TV局へ実際に素材搬入を行う管理システムが(株)広告EDIセンターが運用する「CMDeCo」(テレビCMオンライン送稿システム)

媒体扱い広告会社(CM枠の購入・TV局へ素材搬入やスケジュール進行を請け負う広告会社)が管理システムの操作を行います。広告主の素材指定に従って、CM素材を放送局へ送稿します。 送稿指示された素材は、素材搬入事業者の搬入サーバーからCMDeCoの送受信サーバーに搬入され、そこから放送局内ストレージに送稿されるしくみです。

引用元:https://www.jaaa.ne.jp/services-item/tvcm/

作業の流れとしては、広告主の依頼で制作を請け負った広告会社・制作会社・ホスプロが制作物(CM素材データ)を素材搬入事業者の管理システムを利用して、搬入サーバーへアップロードします。管理システムを通じて、TVCM枠購入・進行・素材搬入を請け負う広告会社(媒体扱い広告会社)へメールにて「素材をアップロードしました」と通知がされます。それを受けて媒体扱い広告会社はCMDeCoの管理システム上で、搬入サーバーにアップロードされた素材よりどの素材をどのTV局へ搬入するか指示出し・設定を行い、それを受けてCMDeCoがシステム連携している搬入サーバーへリクエストし、搬入サーバーより各放送局へ素材は搬入される、といった流れになります。

CM素材のオンライン運用のメリット

コスト面

これまでのHDCAMプリントと比較して、オンライン搬入費(1局あたり)の方が複数局に同一素材を送る場合には安価になります。

またHDCAMやXDCAMといった物理メディアで複数のテレビ局へ搬入していた配送コストがなくなります。

搬入期日

手元にあるPCの管理システムで搬入指示後、数分で局へ搬入されるので従来よりも素材搬入にかかる時間を短縮できます。また悪天候や災害による素材不達・遅延といった影響を受けず、安全・確実に素材を搬入することが可能となります。

エコロジー対応

搬入にテープやディスクを使用しないことで物理的廃棄は発生しません。

輸送のためのCO2も発生しなくなるのに加え保管のスペースも不要です。

CM素材のオンライン運用のデメリット

コスト

これまでのHDCAMプリントと比較してオンライン搬入費(1局あたり)の方が安価になる一方、新たな作業費目(後工程費)が発生します。

オンライン搬入可能局数により、今までよりコストが増加する可能性もあることに注意が必要となります。

CM素材のオンライン搬入と現物(XDCAM)搬入の運用コストについて

メリット・デメリットで述べているように、オンライン搬入ですと輸送費やプリント費が掛からない点は安価になりますが、CM素材の制作過程で新たな作業費目(後工程費)が発生します。1回のCM投下に選定する局数や、素材タイプ数などで全体コストが割高になる可能性があります。

具体的に言うと、制作会社により費用にバラツキがありますが、1タイプ(素材)につき、2~3局以上の搬入でオンライン搬入の方が安価になることが多い傾向です。

素材制作に関しては、原版の権利やその費用、管理費用等も制作会社によって様々となっています。また、オンライン搬入が対応していない局はXDCAM搬入が必要になり、オンライン用とXDCAM用の原版費用等が2重にかかることもありますので、素材運用の費用を抑えるようご提案させていきます。

CM制作からCM出稿まで一貫したサポートを行っている弊社へぜひ一度ご相談ください。