薬機法(旧薬事法)の一部改正により、2021年8月1日から新たに「課徴金制度」が加わることになりました。

これは、虚偽・誇大広告をおこなった企業などに対し、違反をおこなっていた期間中における対象商品の売上額の4.5%の納付が求められるというものです。

薬機法は医薬品や医療機器だけでなく、医薬部外品、化粧品などの定義、健康食品の規制にも関わっているため、これらの商品を取り扱う際には必ず把握しておく必要があります。

薬機法を知らずに違反となってしまわないよう、まずは薬機法の基本を知っておきましょう。

薬機法(旧薬事法)とは?

薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、下記の3つを主な目的としています。

・保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止

・指定薬物の規制

・医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進

また、薬機法の規制の対象は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品となっています。

しかし、健康食品・サプリメント・美容器具などを取り扱う場合も、薬機法に抵触する表現(医療品のような効果を訴求するなど)をしてしまわないように注意が必要です。

広告における薬機法とは?

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の広告規制は、薬機法の第66条〜68条で定められており、医療品等の効能、効果、性能についての虚偽・誇大な広告や、医師が保証したと誤解されるおそれのある記事の広告が禁止されています。

また、医薬品としての承認が得られていない健康食品等について、効能・効果があると宣伝することはできません。

化粧品や医薬品、医薬部外品については第2条で定義が定められているので、こちらも確認して広告内の表現に注意しておくことが大切です。

薬機法に違反するとどうなる?

広告表現において薬機法に違反すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方が科せられるおそれがあります。

さらに、冒頭でも触れたように、2021年8月1日より薬機法に課徴金制度が導入されることで、違反をおこなっていた期間中における対象商品の売上額の4.5%の納付が求められます。

また、規定の対象については「何人も」と記載があり、「すべての人」が対象です。

広告主(メーカー)だけではなく、広告代理店や制作会社、媒体社や個人のアフィリエイターなども対象となります。

違反が発見された場合、このような罰則が科されるおそれがあると同時に、行政指導や広告中止による損害など、企業としての信用が失われてしまいます。

知らないうちに広告が薬機法に抵触していたということがないよう、厚生労働省が定めている「医薬品等適正広告基準」などのガイドラインを確認したり、自社内で広告ガイドラインを作成して共有するなどの対策が必要です。

参考:厚生労働省「医薬品等適正広告基準」

まとめ

いくら魅力的な商品を持っていても、薬機法を知らないまま広告表現をおこなうのはとても危険です。

とはいえ、ガイドラインや事例などをすべてチェックするのは難しいものです。

顧客との信頼関係をきちんと築いていくためにも、まずは基本的な表現を見直すなど、意識を高めていくことが大切です。