BtoB向けのWebサイトと言っても多種多様ですが、多くの場合「問合せをもっと増やしたい」という目的で新規制作やリニューアルのご要望を頂きます。
そこで、今まで問合せが少なかったWebサイトを「行動デザイン」の考え方を取り入れてリニューアルし、広告運用無しでも問合せをコンスタントに獲得できるようになった事例をご紹介します。
BtoB Webサイトの訪問者は目的が明確
経験上、BtoCのWebサイトと比べてBtoBの Webサイト訪問者は「訪問目的がより明確である」ことが分かっています。
なぜなら「指名検索での訪問」であれば「既に会社を知っていて、その会社に用がある」「どんな会社かを見に来ている」可能性が高く、「一般検索での訪問」であれば会社と関連性の高いキーワードで検索しており、「その会社の事業内容に興味がある」可能性が高いからです。
目的が明確であれば、Webサイトの全体設計は道筋が見えてきます。「訪問者が何を求めてWebサイトに訪問し、どのようなプロセスを経て問合せに至るのか」その動線をしっかりと作っていけば、結果を出すWebサイトを作ることができます。
事業内容に応じてWebサイトを分ける
今回ご紹介する事例では、クライアント企業様がターゲットの異なる2つの事業領域で展開されていたため、それら全てを一緒くたにしてしまうと、動線が煩雑になる恐れがありました。そこで主に会社のことをご紹介する「コーポレートサイト」と、主力事業のより具体的なサービス内容をご紹介する「サービスサイト」を分けるご提案をしました。
これによって指名検索の訪問者はコーポレートサイトへ、一般検索の訪問者はサービスサイトへ行き、それぞれの訪問者が目的を達成しやすい動線を作っています。
2サイトで異なる目的とコンセプト
コーポレートサイトとサービスサイトは、以下のように目的や方向性を変えて構築していきました。
●コーポレートサイト
訪問者の訪問目的 | →どんな会社なのかを見に来る |
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Webサイトの役割 | →信頼できる会社であることを伝える、 「この会社に任せたら大丈夫そう」と思って頂く |
Webサイトの目的 | →訪問者を近い将来、顧客に変えること |
目指すべき方向性・コンセプト | →信頼感・安心感、任せられる会社であることの訴求 |
●サービスサイト
訪問者の訪問目的 | →この会社が提供するサービスを使いたい、 サービス利用を検討している |
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Webサイトの役割 | →訪問者がサービスを検討する時、 他社と比べて優位であることを示す。 サービス内容に興味を持って頂く |
Webサイトの目的 | →問合せやお見積り依頼をして頂くこと |
目指すべき方向性・コンセプト | →サービスに対する自信、他社と比べ、 依頼したいと思って頂く |
つまりこの事例では、コーポレートサイトは企業ブランディング寄り、サービスサイトはレスポンス獲得寄りのアプローチを行っています。
デザインのトーンは2サイトで合わせながらも、その内容やページ構成の考え方は大きく違い、その後の訪問者の動きも異なってくるのです。
「問合せ動線」がなぜ大事なのか
特にこの事例のサービスサイトは「問合せやお見積り依頼をして頂くこと」を目的としており、サイトへの訪問があった時点で「行動」に移せるようにするのがポイントとなります。
そこで着目したのが、自動車保険一括見積もりサイトや引っ越し一括見積もりサイトなどの「問合せ動線」です。これら見積もりサイトはいずれも、Webサイトの目的が「訪問者から見積もりをしてもらう」ことであり、それ以上でもそれ以下でもありません。そこにある「問合せ動線の工夫」は大変理にかなっています。
ここで裏付けとなる考え方をご紹介します。スタンフォード大学の研究者であるBJ・フォッグが考案した「行動デザイン」です。BJ・フォッグは、「他人の行動を引き出すにはその実行をいかに簡単なものとしてデザインできるかが重要」と語っています(※)。
分かりやすい例が、2010年にインスタグラム発表当時の仕様です。インスタグラムは写真を投稿するまでのタップ数がわずか3回で、そのシンプルさは当時の競合アプリと比べると一目瞭然だったと言われています。その機能は、写真を撮り、フィルターで加工し、シェアするだけ。そこまでシンプルなものは当時も珍しく、今でもそうそうありません。
サービスサイトの目的が「問合せをして頂くこと」、訪問者の目的が「問合せること」であれば、シンプルに、その目的を叶える動線を作るのが目的達成の近道です。
このように「行動デザイン」を取り入れることで、今までWebサイト経由の問合せがゼロだったWebサイトを、広告無しでもコンスタントに「問合せが来る」BtoB向けWebサイトへと変えることが可能になります。
以上はあくまでも今回ご紹介した事例のアウトラインであり、どの会社にも当てはまる内容ではありません。
詳細を知りたい方、より結果を出せるBtoBサイトを作りたい方は、ぜひご相談ください。
※参考文献:スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法 習慣超大全(BJ・フォッグ著、ダイヤモンド社刊)