「深夜ラジオを聞きながら受験勉強してました。」というのはおそらく40代前半(いわゆるラジカセ世代)の人達まででしょうか?
 私たち世代にとっては、非常に身近で最新の情報媒体だったラジオですが、メディアの選択肢が増えた今となっては、そもそもラジオを聴くすべすらなく、どんな番組や情報が提供されているかあまりよく知らないという状況なのかもしれません。
 こういった背景もあり、ラジオの広告費推移は平成10年からゆるやかに減少しています。広告4媒体の1つであるラジオですが、他3媒体の新聞・雑誌・TVと比べても、最下位。2000年代初期にはほぼ同じ規模だったインターネット広告には、すでに大きな差をつけられています。

 しかしながら、この状況下であえてラジオを選択しプロモーションに成功した企業は多々あります。

ポイントは「ラジオをお聴きのあなた・・」です。

番組のパーソナリティは家族同然!?

リスナーは自身のライフスタイルに合わせ、ラジオのスイッチを入れ毎日呼吸をするようにラジオをルーティンとして聴いている方が多くいます。

  • 朝の食卓で
  • 通勤中の車の中で
  • 畑仕事をしながら

などなど。 ゆえにリスナーからすれば“いつもの番組”の“いつものパーソナリティ”は本当に身近な存在になり、もはや家族同然。

 リスナーはパーソナリティを愛称で呼び、パーソナリティはリスナー個人に「あなた」と呼びかけるのです。そんな家族同然のパーソナリティが紹介する商品やサービスは信頼性が高く、リスナーの行動(消費)意欲は増していくわけです。

地域にスリ込まれていく情報
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 習慣性という特徴に加え、ラジオは地域密着という大きな特徴(メリット)を兼ね備えています。

  「♪八女人形会館~♪」
  「♪太宰府~ えとやの~ 梅の実ひじき♪」

この記事を福岡以外で読まれている方は全く意味がわからないかと思いますが、福岡や北部九州にお住まいの方はきっと歌っているはずです(多分)。

 正味たった5秒のサウンドロゴCMと言われるものですが、習慣的・定期的に流れてくることで企業名や商品・サービスが自然にエリアのリスナーにスリ込まれていきます。
 また広告を出稿する企業からみても、5秒尺のため比較的安価な予算でエリアに定期的露出しスリ込むことできるメリットは非常に大きいようです。

イベントでさらに立体的に

 今のラジオメディアにとって、切っても切りはなすことができないのがイベントです。全国のラジオ局は様々なリスナー参加型イベントを実施しており、会場では“いつものパーソナリティ”と触れあえたり、CMでおなじみの企業や商品を知る(購入)することができます。

イベントの開催告知はほぼラジオのみなのですが、主要都市でのラジオイベントは10万人を超えるリスナーが集まります。
 企業のロゴも見たことない。ましてや商品のパッケージも見たことない。でもラジオで企業や商品の名前だけは聞いたことがある。ほぼほぼそんな状況にも関わらず、リスナーはサウンドロゴを口づさみながら!?まるで昔から知っていたかのように企業ブースへ立ち寄っていくわけです。

パーソナリティ & 広告クライアント & リスナー

この3者の特別な関係こそがラジオメディアの最大の強みなのかも知れません。

そして、より手軽により身近に

 昨今、ラジオはスマートフォンの普及により大きな変化期を迎えています。
 2010年に配信開始されたスマートフォンやPCでインターネットを介して無料でラジオを楽しむことができるサービス「radiko(ラジコ)」の広がりに伴って、ラジオ世代の中高年世代はもちろん、これまで未接触だった10代~30代の若い世代にもラジオの魅力がひろがりつつあります。

 当然番組を制作する側もリスナーニーズの多様性によって、これまでの編成の見直しや番組内容・出演者の充実がより求められています。リスナーとの距離がもともと近かったラジオはSNSとの相性も良く、それらを活用した工夫も多くなっています。お客様と特別な関係を築ける広告媒体として、ラジオの魅力をぜひ知ってください。

「テレビをご覧の”みなさん”・・・!」 もよいですが、
「ラジオをお聴きの”あなた”・・・!」 を活かせる時代が再び来るかもですね。

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