2019年11月、福岡ヤフオク!ドームが「福岡PayPayドーム」に改称されることが発表され、世の中に少なからずインパクトを与えました。最近は日本でも少しずつ発展しているネーミング・ライツ。今回は、その基礎知識を改めて見ていきましょう。

ネーミング・ライツって何?

 ビジネスにおけるネーミング・ライツとは、施設などへの「命名権」です。競技場や公園、美術館など(本来は公共施設に対するものがメイン)に、企業名や商品ブランド名などを付ける権利を企業が買うことで、認知度アップやブランディングに繋げる狙いがあります。
 なお、公共施設で変更するのはあくまで一般呼称で、正式名称はそのまま存在します。ワールドカップやオリンピックなどの大きな国際大会では、スポンサーなどの兼ね合いから正式名称が適用される場合がほとんどです。

始まりはいつ?

  発祥はアメリカ。1973年に食品会社のリッチ・フーズ社がフットボールチームの本拠地を「リッチ・スタジアム」としたのが始まりと言われています。アメリカはナショナリズムや地域意識が強く、地元プロチームと競技場への愛着が高いため発展が成功していきました。
 日本では、味の素が2003年に東京スタジアムの権利を取得した「味の素スタジアム」が、公共施設で初の導入になります。

誰に、どんなメリットがあるの?

 ネーミング・ライツは以下の3者すべてにメリットがあると考えられています。

①企業

  ニュースなどで頻度高く施設名が出ることによって認知度アップと宣伝効果があります。また、その施設を支援するという社会貢献(メセナ活動)の企業姿勢でイメージアップが図れます。

②施設の所有者

  なんと言っても資金調達の安定化です。公共施設の場合は特に、所有者が県や市になるため、住民の税金ではない財源の確保が見込めます。施設の経営を維持し、レベルの高い設備投資をしていくことも可能になります。

③利用者

 充実した設備で、期待以上のサービスを受けることができれば、高い満足度を得ることができます。

 利用者の満足度が高ければ施設の価値が上がり、観光資源へ繋がりますし、施設の価値が上がれば、サポート企業の更なるイメージアップになり、それが次の財源を生んでいく、という好循環が生まれます。

ネーミングライツの事例

施設
正式名称
ネーミングライツ名称所在地契約企業期間金額
(税別)
東京
スタジアム
味の素
スタジアム
*2003年~
東京都
調布市
味の素
株式会社
(4期目)
2019年3月1日~2024年2月末
/5年間
11億5000万円
京都市
美術館
京都市
京セラ美術館
京都府
京都市
京セラ
株式会社
(2020年3月21日のリニューアル
オープンから)50年間
50億円
(平成29年度15億円
 平成30年度15億円
 平成31年度20億円)
白鳥
アリーナ
白鳥王子
アイスアリーナ
*2015年~
北海道
苫小牧市
王子ホールディングス株式会社(2期目)
2019年4月1日~2022年3月31日
/3年間
年額500万円
(総額1500万円)
東山
運動公園
どらやき
ドラマチックパーク米子
 (略称:どらドラパーク米子)
*2008年~
鳥取県
米子市
丸京製菓
株式会社
2017年4月1日~2022年3月31日
/5年間
年額200万円
(総額1000万円)
弥生歩道橋ZOZOTOWN弥生歩道橋千葉県
千葉市
株式会社
スタートトゥデイ
2017年8月11日~2027年8月10日
/10年間)
年額40万円
(総額400万円)

<参照>
東京スタジアムhttps://www.ajinomotostadium.com/news/2018/10/1774.php
京都市美術館
https://www.kyocera.co.jp/news/2017/0201_sljg.html
白鳥アリーナ
http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kyoiku/sports/taiikugyoji/hakutyou.html
東山運動公園
https://www.city.yonago.lg.jp/11736.htm
弥生歩道橋
https://www.city.chiba.jp/kensetsu/doboku/dobokuhozen/hodokyo-naming-rights-keiyakuteiketsu.html

まとめ

いかがでしたか? 最近は、建物のみならず、道路やバス停、トイレなどユニークなネーミング・ライツもたくさん生まれています。一方で、その背景には地方を中心とした財政難がある上に、知名度が低いと契約企業が現れないという課題があります。また、そもそも改称に対して住民から賛成を得られにくい、という課題もあります。

 公共物は、地域の人に親しまれ、愛されていくべきもの。施設とその地域に積極的に貢献したい、という意識の強い企業に取得してもらい、企業をきっかけに地域が元気に、活性化していける形が理想ですね。