皆さんは、最後に映画館に足を運んだのはいつですか?

動画配信サービスが普及する昨今、「映画館離れ」が囁かれますが、映画館では4DXなどの環境設備により自宅では味わえない臨場感を味わうことができます。

また、近年では応援上映と呼ばれる、コスプレやうちわ・声出しが認められる上映会が行われる場合もあり、映画の楽しみ方は様々です。

今回は、そんな映画館のスクリーンで流れるCM「シネマ・アドバタイジング」、通称「シネアド」についてのお話しです。

近年の映画動向

昨年・今年とコロナ禍により映画業界も厳しい状況を強いられていますが、一昨年までは順調に入場者数・興行収入を伸ばしていました。震災のあった2011年やそれまでの過去最高を記録した2016年以降の2017年・2018年は伸び悩みましたが、2019年には年間興行収入が2611億8000万円となり、前年比117.4%と急成長を遂げています。これは、興行収入の発表が始まった2000年以降、過去最高の記録となっています。この2019年は2016年に大ヒットした「君の名は。」の新海誠監督作品「天気の子」や、ディズニーシリーズの続編・実写化も公開されており、これらが過去最高の興行収入に大きく影響しています。

出典:一般社団法人日本映画製作者連盟

シネアドの魅力

シネアドは上映開始時刻後の予告編の前に流れるため、テレビCMなどと異なり、ながら見ではなくそのCMだけに集中させることができる環境が整っています。そのため、非常に高い訴求力が期待でき、CM内容の理解度も高くなります。

また、年間の公開作品のスケジュールもある程度把握することができるため、2019年の「天気の子」やディズニー作品のように前評判もあり大ヒットが期待される作品が公開されるタイミングを狙って出稿をすることも可能です。

1作品を指定して出稿することもできるため、効率的によりターゲットに合った相手に訴求することを狙えます。
例えば、毎年GW頃に合わせて公開されている「劇場版 名探偵コナン」は、最近では女性人気が高く、ファミリー・子ども向けというより20-30代女性がメインターゲットの商品の訴求に向いているのではないでしょうか。このほかにも、海や魚が舞台の作品で水族館の広告を流すなど作品と親和性を持たせて来場者により深い印象に残すといったこともでき、作品内容やターゲットに合わせて出稿を考えることができるのはシネアドの大きな特徴です。

もちろん、1作品に絞らず、1劇場の全スクリーンで出稿することもできるので、一定期間ピンポイントで幅広い年代へ訴求することも可能です。

シネアドは基本的に、上映したい劇場でレギュラー上映(6ヵ月:26週間)、もしくはスポット(2週間)で全スクリーン上映か作品指定上映のどちらかを選択して実施します。

 近隣施設や住宅メーカー等は長期間のレギュラー上映をして、来場者に繰り返し刷り込みを行うことで認知を高めることが有効的です。一方、小売業では新商品発売やセール等のタイミングに合わせて短期的にターゲットを絞って訴求することで高い効果が期待できます。

業種や企業戦略・素材内容に合わせて出稿を検討できるのが、シネアドの魅力です。

シネアドの費用やスケジュールについて

 シネアドを実施する劇場ごとにスクリーン数や座席数等が異なり上映回数も違うため、CMの上映料金は各劇場で異なります。また、シネアドでは、この上映料金のほかに、DCP作成費と配信費という上映関連費が別途必要になります。これは、映画本編と同様のデジタルシネマ用映像フォーマットであるDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)を作成するための費用と、作成したDCPデータを各劇場に配信するために必要な費用です。ただ、DCP作成費が不要の場合や全スクリーンか作品指定等の上映形態によって配信費も異なるため、詳細については是非お問い合わせください。

 出稿の枠取りについては、人気の劇場はレギュラークライアントで埋まっていたり、人気作品は早くから枠が埋まってしまう場合もあるため、上映したい劇場や作品・時期が決まったら事前に枠の確認を行って決定していく必要があります。また、テレビCMと同様、事前に興行会社の素材考査も必要です。枠取りもでき、素材内容に問題がなければ、素材をデータで納品します。シネアドでは、基本的に上映スタート日(金曜日)の9営業日前までが納品期限となります。配信作業のスケジュールは、金曜日からの1週間を1つの期間として扱う為、金曜日以外に上映がスタートする場合は、直前の金曜日の9営業日前までが納品期限になります。

2021年後半の注目作品は

邦画のイチオシは、9/17公開予定の木村拓哉が主演を務める「マスカレード・ナイト」です。東野圭吾原作「マスカレード」シリーズの第2弾で、2019年に公開された「マスカレード・ホテル」は363万人を動員し、興行収入46億円で2019年の邦画実写映画で第2位を記録しています。性別・世代問わず多くの来場者が見込める作品ではないかと思います。

アニメ作品では、「劇場版 呪術廻戦0」が12/24公開予定となっています。昨年公開された「鬼滅の刃」の大ヒットも記憶に新しいかと思いますが、同様にヒットが期待されています。「呪術廻戦」は昨年アニメ化を果たしており、単行本のシリーズ累計発行部数は5月時点で5000万部を突破しています。「鬼滅の刃」よりストーリーが複雑ということもあり、メインターゲットは10代後半~30代となるかと思いますが、多くの動員が見込めるのではないでしょうか。このほか、スタジオジブリ出身で邦画の歴代興行収入TOP10のうち、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「君の名は。」の3作品で作画監督を務めた安藤雅司監督作品「鹿の王 ユナと約束の旅」が9/10に公開予定、来春には毎年春休み前に合わせて公開されている国民的アニメ「ドラえもん」の公開も予定されています。

邦画・アニメ、もちろん洋画も様々な作品が目白押しなので、今後も幅広い世代が映画館に足を運ぶことが予想されます。

最後に

映画館に足を運ぶ人は、日頃から情報収集やトレンドに敏感で購買意欲が高い傾向もあり、今まで映像広告といえばテレビCMを一番に思い浮かべていた方も、シネアドを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。テレビCMよりも効率的にターゲットにあった出稿ができるかもしれません。

まだまだコロナ禍に終わりは見えませんが、コロナの影響で延期になった作品が同時期に公開されることで作品層が厚くなるタイミングも出てくるため、そのチャンスを狙ってみてもいいのかもしれませんね。