最近よく耳にするようになってきた「IOT」という言葉。2010年代の半ばあたりからビジネスシーンにおける重要ワードとして聞かれるようになってきました。「IOT」とはInternet of Thingsの頭文字のことで、ネットワークに今まで接続されていなかった「モノ」がインターネットを介して情報をやりとりする能力を備えていくこと。すでに様々な分野で実証実験や実践的な活用が始まっており、今後人々の暮らしを大きく変えると言われています。

今回は、IOT時代の中心となりそうなデバイスやカテゴリーを通し、今後どのような広告コミュニケーションが展開されるのかを予測したいと思います。

スマート家電

現在増えているのがスマート家電。スマートフォンを介して操作する家電が主流で、冷蔵庫、洗濯機、エアコンやテレビなど、様々なジャンルがIOT家電として続々と発売されています。スマート家電の中でも、広告デバイスとして今後有望なのはスマートスピーカー。日本ではまだ普及が進んではいないようですが、海外では音声配信サービス広告やインターネットラジオ内での音声広告配信がされているようです。

ウェアラブルデバイス

時計やサングラスなど、近年では様々な機能を搭載した製品が増えてきているウェアラブルデバイス。スニーカーやインナーなど、ファッション分野でもデバイス開発が進んでいるとのこと。将来的には、より幅広い分野での商品開発が見込まれています。自宅やオフィス以外でスマートフォンやテレビ、またはPCを見ていない余白の時間帯に広告接触できる可能性を秘めており、すでに海外では数年前から大学との共同研究で、ウェアラブル端末に広告配信を行う実証実験が始まっているようです。

将来的には、ジョギング中に飲料水の広告が端末のディスプレイに表示されたり、フィットネス中にスニーカーから音声を流すようにできる可能性があります。

コネクテッドカー(スマートカー)

コネクテッドカーとはICT機能を持った自動車。車載情報端末から常時ネット接続されており、最新情報を送受信し、分析結果を元にした最新の渋滞情報や事故情報をマップにリアルタイムで反映できたり、通話やテキストメッセージのやりとり、動画や音楽のダウンロードなどが車載上のディスプレイで操作できます。5G通信規格での大容量高速データ通信により、コネクテッドカーの普及が加速されると言われており、自動運転技術と併せて近未来の車の姿が想像できます。

このコネクテッドカーに搭載されているディスプレイやオーディオが将来的には広告媒体となり、リアルタイムに近くの店舗のクーポン情報の取得や音声コンテンツの配信など、ユーザーベネフィットを意識した広告コミュニケーションが検討されています。

スマートシティー

スマートシティとは、IOTの先端技術を用いて、交通や通信、病院や学校などの社会インフラと自宅やオフィス、または車などの生活インフラを効率的に管理・運営しながら経済発展を目的とした次世代型の都市のことです。世界的にIOT技術の導入が進んでいますが、特にIT先進国としてリードしている北欧諸国では、人々の生活にIOTサービスが浸透しつつあります。例えば、フィンランドでは行政機関との連携のもと、モビリティシステム「Whim(ウィム)」というアプリを介し、電車やバスの公共交通はもちろん、タクシーやカーシェアや自転車シェア、レンタカーまでもが最適なルート提案とあわせて予約・決済が行えます。一定の距離内であれば交通機関などが月額定額制で乗り放題などのサービスも提供されています。サービスの提供開始後、公共交通機関の主要都市での利用率が48%だったところが、導入後は利用率が78%まで高まり、対照的に自家用車の利用率が40%だったところが、導入後は利用率が20%まで減少したとのデータがあります。

このようにスマートシティ化は、人々の移動手段や生活習慣を大きく変える可能性があり、広告のコミュニケーション戦略を立案する上で、交通広告やOOH広告の重要度がより高まってくると予測できます。

まとめ

今回ご紹介した分野以外にも、あらゆる分野でIOT技術の導入が世界的に進み、社会インフラや生活インフラ上でのデジタルサービスが提供され、人々の生活がより効率的かつシームレスになっていくことが予測されます。広告コミュニケーションの形も、デジタル技術の発展にあわせて柔軟に変化していくことが求められています。

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