新聞広告の入稿データ形式は、他のオフラインメディアの広告デザイン入稿と違い独自の仕様を持っています。特に初めて広告出稿される際には混乱することも多い仕様の違いについて、ここでは以前からよく用いられていた「epsデータ」入稿と、最近導入された「N-PDF」入稿の違いについて説明していきたいと思います。

epsデータについて

「eps形式」は、Encapsulated PostScriptの略称で、DTPの業界では以前から一般的な形式として扱われてきました。
「eps形式」 は「PDF形式」が今と比べて機能的に未熟だった頃に、レイアウトソフトへ配置するために普及しました。当時はIllustratorとPhotoshopの各ファイルを「eps保存」しておけば同一形式として後から編集しやすくなるといった利点がありました。

原稿を元に組版をして印刷原版を作成するまでの一連の工程がジタル化される中で主役となった技術ですが、現在ではPDFによる工程に置き換えられているため、新聞社への入稿に限らず、各印刷会社への対応としても、epsデータによる入稿ではなくaiデータやPDFデータによる入稿作業がメジャーな方法になりつつあります。

N-PDFについて

PDFとはAdobe社が開発した電子文書フォーマットです。2008年に世界標準規格に採用され、文書ファイルの標準フォーマットとして現在では世界的に普及しています。その中でN-PDFは、2012年に日本新聞協会と日本広告業協会が、新聞広告に特化した規格として策定しました。

制作した原稿がきちんと掲載されるのであれば、入稿データ形式がどのようなものであるかあまり関係がない問題にも思えますが、複数の新聞社に出稿する場合に複数のファイル形式で原稿を制作することは非効率的で余分なコストがかかる可能性もあります。よって日本新聞協会は、新聞広告をより使いやすくするためにN-SIZE(原稿サイズ)、NSAC(色見本基準)などといった基準と併せ、N-PDFを統一した入稿データ規格として推奨しています。

N-PDFにすることのメリット

N-PDFは印刷用として作成されたPDF形式をベースにしており、これまでのeps原稿では広告枠より外にあるデータまで認識してしまったり、リンク切れで画像が表示されないといったエラーが起きていましたが、N-PDFではこうしたエラーが発生しないようになっています。また、N-PDFはAdobe Acrobatという、Adobeが提供しているPDF編集ソフトによって原稿データが入稿データに適合しているかどうかのチェックが可能ですので、入稿後にデータ形式の問題によるトラブルを事前に防ぐことが可能です。さらに、データ容量も小さく圧縮でき、容量に限界のあることが多いオンライン送稿に適しています。

N-PDFの作り方

N-PDFの作り方の大まかな概要を説明します。細かい手順については、「新聞広告デジタル制作ガイドN-PDF ver1.2(2019)」(日本広告業協会内のホームページ  https://www.jaaa.ne.jp/?p=6650 )をご参照ください。

1.N-PDF設定ファイルを設定する

まず、N-PDF設定ファイルを上記の日本広告業協会のWebサイトからをダウンロードしIllustratorなどのソフトに読込みます。ソフトのバーションによってはN-PDFが制作できない場合がありますので、読み込み方法の詳しい手順も含め「新聞広告デジタル制作ガイド」を参照して下さい。

2.制作ルールに則って原稿制作

新聞広告デジタル制作ガイド N-PDFに記載されている制作ルールに則って原稿を制作します。初めからある程度制作ルールを守って制作を進めておくと、最終的にN-PDF形式で保存したデータでエラーが発生したとしても、細かな修正で対応することができるので、完璧でなくとも制作前にある程度ルールを確認しておくことが重要です。

3.N-PDF形式で書き出す

プリセットを事前に読み込んだ「N-PDF201207」に設定し、N-PDF形式で保存します。事前に設定ファイルを読み込んでおけば、そのプリセットを選ぶだけで特に何か設定に手を加える必要もなく保存できるので、毎回の作業負荷としては大きくありません。

まとめ

N-PDFを初めて制作する際に制作ルールや手順が複雑で敷居が高いように思われますが、入稿トラブル率の低さや容量の軽さなどメリットが大きく、現在では様々な媒体でepsからの移行が進んでいますので、今のうちに入稿方法をマスターしておくことをオススメします。日本広告業協会の「新聞広告デジタル制作ガイド(N-PDF)」や新聞協会サイト( https://www.pressnet.or.jp/adarc/edi/edisearch.html? )から、各新聞社の入稿規定についても閲覧することができますのでご活用ください。