普段目にしている広告の中には、実は心理学の要素が数多く用いられています。心理学と広告効果は密接に関係しており、優れた広告戦略を行うためには、受け手側の感情を読み、アクションを起こすように誘導する力が必要となります。今回は、広告戦略に活用できる5つの心理効果を通し、ターゲットの態度変容を促す事例をご紹介します。

繰り返すことにより効果を高める「ザイアンス効果」

テレビCMやWEB動画広告、または電車広告などで同じクリエイティブが繰り返し流れていて、最初は無意識に見ていても、何度か見るうちにその広告や商品を認識して、いつの間にか好感を持っていることはないでしょうか。この心理的現象が「ザイアンス効果」です。人は、接触回数が増えるにつれて、その対象に親近感や好意が増加していくとの論文結果が発表され、広く知られるようになりました。

 そのため、すでに知名度が高い商品やブランドでさえ、大金を投じて繰り返して宣伝活動を行うのは、売り上げは品質の良し悪しだけに左右されるものではなく、人間の購買心理を踏まえた広告戦略により結果に大きく差がつくと心得ているからに他なりません。

憧れの人と同じという願望を刺激する「モデリング理論」

人は、自分の周りの誰かを手本にしながら成長する。このことをモデリング理論と言われています。尊敬している人や成功者を手本としてファッションや髪型、使っているアイテムなどを取り入れたことは皆さんにも経験はあると思います。このような理論を活用して広告効果を上げているのがタイアップ広告です。

単に商品を紹介するだけではなく、人の持つ「〇〇になりたい」という願望を呼び起こすことこそが、セールスを強力に後押しすることにつながるのです。

これは効きそう!という印象を利用する「プラシーボ効果」

何の効果もないはずの薬剤によって、症状の改善や副作用の出現が見られることがあり、これを「プラシーボ効果」と言います。人々は、この薬を飲めば治るという自己暗示にかかりやすく、「これは効く」と信じて飲むのと、疑いながら飲むのでは効果が変わってくるということを示しています。なので、医薬品の広告などでは、消費者が「効きそうだ」とプラスの心理になるような要素を多く取り入れています。

例えば、CGを活用して視覚的に傷跡が消えているイメージや、飛び散っているバイ菌を撃退しているイメージなどが表現されています。また、親が子どもを心配して薬を持ってきたりするCMは、消費者の感情に訴えかけて病気の回復をイメージさせます。

皆が買っているから自分も買おう「バンドワゴン効果」

人々は、メディアや広告などを通じて流行の商品やサービスを見た時「皆が使っているから自分も使おう」と同調する心理が働きます。このような心理的現象を「バンドワゴン効果」と呼びます。人は多数派意見の方が正しいことだと思い込む傾向があり、同調する消費者が増えるほどそれだけ購入判断への影響力が強まることになります。

 例えば、「史上ナンバーワンの話題作」「日本人の4人に1人は使っている」「お客様満足度業界ナンバーワン」など多くの人が支持しているものは良いものだと思う心理を突くようなキャッチコピーでアピールすれば、商品を知らなかったり使ってなかったりすると周囲の情報に乗り遅れてしまうという心理が働き、消費者のアクションにつながります。

自分に当てはまっているかもと思わせる「バーナム効果」

広告の構成要素の中で特に重要なキャッチコピー。一方的に呼びかけかけるだけだと心理的な抵抗を生んでしまう可能性があります。企業から送られるキャッチコピーは万人に当てはまるように内容を発信しているケースが多いですが、自分に当てはまるものだと思わせる「バーナム効果」というテクニックが用いられているケースがあります。

一例ですが、「あなたは〇〇です。」と訴えかけるよりも、「私は〇〇だ。」という一人称視点のコピーの方がストーリーの登場人物、もしくは消費者自身の言葉と認識される可能性が高いです。いかにターゲットが個人的事実だと受け取ってもらえるか、自分ごと化してもらえるかということを想定しながらコピー開発を行うことが、広告効果を高める近道になるのです。

まとめ

WEB広告やテレビCM、チラシやDMなど世の中に溢れかえっている宣伝ツールの中でも情報が埋もれることなく、ターゲットの態度変容を促す心理学を活用した広告戦略で効果的にブランドや商品をアピールしていきましょう。