近年、次々に種類が増えている動画配信サービス。
そんな数ある配信サービスの中でも、若年層から50代以上の幅広い層から支持され、ただ今急成長を遂げているのが、民放公式の無料見逃し配信ポータルサービス「TVer」です。

(まず動画配信サービスの違いが多すぎて分からない!という方は、コチラ

一度は耳にしたことはあるけれど、実際どんなサービスなのか、広告を出せる企業は限られるのではないか、と疑問に感じている人も少なくないはず。今回はそんな、「TVer」について紹介します。

TVerって、そもそも何?

「TVer」とは

「TVer」とは、元々単体で配信サービスを運営していた民放5局が手を組み2015年に立ち上げたポータルサービスで、ドラマ、バラエティ、報道、アニメなど様々なジャンルの番組を放送終了後すぐに無料配信している独自性から、2019年時点でDL数2,200万突破、MAU(月間アクティブユーザー)数は約900万人と、利用人口を年々伸ばし、徐々に注目を集めています。

また、取り扱い番組も現在は約200種ですが、はじめはキー局の番組からのスタートし、地方局の番組やNHKの一部の番組など取り扱い番組も年々増加しています。
※番組数、DL数、MAU数はいずれも2019年度時点。

TVerとはどんなサービス?なぜ無料?

TVerのサービス内容をまとめると、民放5局をはじめ、加入局の旬の番組が番組終了後すぐに配信され、視聴者は無料で放送後約1週間楽しめるようになっています。無料と言うと、「何か怪しい」、「蓋をあけたら課金式なのでは」、「ただより高いものは無いって言うし…」と心配になる方も出てきてしまいがちですが、仕組みを理解すると、無料で提供されている理由が見えてきます。

このサービスの背景には、CMを収益源として運営してきた各TV局が、近年の若者を中心とした「TV離れ」や、横行していた「違法アップロード」により許可なく番組が出回ることから、従来築き上げてきた媒体力への影響を危惧し、守るために立ち上げた「対策」としての役割があります。それに加え、番組を無料提供し視聴者を集め、集めた人々に対して出稿費をいただくことで広告を露出できるTVと同様の収益モデルが生み出せるといった、TV局側としても無料提供のメリットが重なるので、視聴者に会費を徴収せずに楽しんでいただける仕組みなのです。

デジタル配信サービス「TVer」、実は20~50代に強い?

「TV番組のデジタル配信サービス」と聞くと、一見若者が中心のサービスと思われがちですが、TVerの年代比率を見てみると、実はティーン層が少なく、20~34歳が約29%、35~49歳が約37%、50歳以上が約27%と、20代以上の若年層から高齢層まで満遍なく視聴されています。

また、サービスの特性上、TVが好きな方ばかりが視聴していそうなイメージを持たれやすいですが、ユーザーデータを分析すると、10人のうち3人は、1日に1時間もテレビを視聴しない「ローテレ層」であることが明らかになっています。若年層だけでもなく、テレビっ子だけでもない、年代も行動傾向も様々な人から視聴されているサービスなのです。

※年代、ユーザー傾向の比率はいずれも2019年時点

TVerのCM配信3つ特徴と、動画広告を配信するメリット・デメリット

TVerそのものの特徴はお伝えしましたが、実際にTVer動画広告を活用しようとすると、どのように配信されるのか、ここでは、3つの媒体特徴とメリット・デメリットを簡単に紹介します。

【CM配信 3つの主な特徴】

①番組の前後と、放送時間にあわせて中盤に複数回再生

番組開始と終了のタイミング、また、番組の尺にあわせて1回から複数回中盤にCMが配信されます。

②視聴者は基本スキップできない

通常の視聴は勿論、早送り、巻き戻しをした際も、CMが配信されます。さらに、途中で視聴していた番組を中断し、別の番組を再生する際も、CMはもれなく配信されます。

③TV局が審査したCMのみが配信

TV局が配信する前に事前に素材を確認し、視聴者に誤認を与えない広告か、データの質に問題ないかを判断し、問題がない素材とOKを出したものが放映されるので、視聴者が怪しむようなセールス広告の配信は未然に防止されます。

【動画広告配信のメリット】

■ 1度番組再生を開始したユーザーは、ほぼ中断せずに完全視聴

見逃した番組に関心がある視聴者層で、公開期間も限定されているため、番組視聴中の集中力が高く、95%のユーザーがCM中も離脱せずに視聴を完了するので、ほぼ確実にリーチします。

視聴者の広告許容度が高い

視聴者の約2/3が「無料だから広告が流れても良い」と回答している統計があり、無料であること、加えてTVとリンクしているイメージが強いので他の媒体と違い違和感が無く広告が許容されている推測できます。

ブランドリフト効果が高い

ブランドリフト効果(広告に接触したユーザーが非接触者よりも理解が向上している比率)が無料動画 投稿サイトよりも高く、視聴者へ商品名やサービスの特性を深く認知させるのに適しています。

自社のターゲットや方針にあった動画広告の運用が可能

好きな局の番組や希望ジャンルを幾つか選択して、選んだ番組やジャンルに特化して配信するプランや、配信したいターゲットにあったエリア・年齢・性別、時間帯、接触回数を設定してランダムに配信するプランなど、希望にあわせて配信プランを選択できます。

TVと比べてリーズナブルな媒体費でスタートできる

TVの場合は放送地域によって価格差が大きく、大都市になればなる程高価ですが、TVerの場合は、動画広告を表示する回数によって予算調整が出来るため、設計次第でTVよりも安価にスタートが可能です。

【動画広告配信のデメリット】

■ 2020年時点では、YouTubeやSNSと比べるとまだまだMAU数が少ない

制作した動画広告で1人でも多くの人にリーチしたい「数」を求める場合はYouTube、動画広告の内容をしっかり理解してもらいたい「質」を求めるならTVerと、希望する目標にあわせてうまく使い分けると効率よくアプローチが出来ます。両方求める場合はバランス良く併用するのがオススメです。

■ 1回の放送で複数のスポンサーが同タイミングで流れる可能性がある

タイミングによってはスポンサーが重なる番組もございます。しかし、TVと比べるまだまだ少ないので、早期に始めると、複数のスポンサーが同時に流れても埋もれず目立てる可能性が期待できます。

まとめ

MAU数・コンテンツ数ともに、まだ発展途上であるTVerですが、開始から5年での成長は著しく、また、高いブランドリフト効果を持ちながらTVで懸念されるようなCMでの離脱は少ないといった、動画広告の活用先としては強みの多い媒体です。さらに、2020年は5Gの解禁や新型コロナウイルスの影響などを受け、自宅での動画配信サービスの利用が一層加速しそうな状況ですので、TVerの今後の成長にもさらに目が離せなくなると予想されます。ブランディングの際は、今のうちからTVerでの動画広告配信をうまく取り入れて他社と差をつけましょう。

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